おさぜん農園

2021.07.02

コラム:「いちごの旬」について

コラム

はじめまして。おさぜん農園の長村(おさむら)です。

今回より、いちごやいちご狩りについての豆知識やいちご農家に興味をもたれている方、いちご農家を目指す方向けに様々な情報をお届けしていこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

記念すべき第1回目のテーマは「いちごの旬」についてです。
なぜこのテーマを選んだのか、
それは、観光いちご狩り園にご来園いただいたお客様からの質問NO.1だからです。
やはり、みなさん美味しいいちごを食べたいですよね。

 

 

 

 

 

 

 

結論から申しますと、いちごの旬は【冬】です。
よく耳にするのは、「いちごは春の果物ですよね」「ゴールデンウィークくらいが旬ですよね」
という意見です。
これには理由があり、以前は畑でのいちご栽培が主流のため、秋に植えたいちごの苗は冬の間、休眠(植物の冬眠のような状態)し、気温の上がる春以降にすくすく育ち、
4月~5月に収穫できるのが一般的でした。

しかし、現在は露地栽培ではなく、ハウス栽培が主流となり、
「ボイラー」と呼ばれる暖房機器を活用することで、
冬でも春の気温を保つことが可能となり、冬にいちごができるようになりました。
クリスマス時期にいちごが出回るのも、全てハウス栽培によるものです。

 

 

 

 

 

 

ビニールハウスや暖房機器のおかげで、いちごの栽培期間が12月~5月と約半年間と飛躍的に長くなり、その中でも12月~2月に採れるいちごはとても美味しく、
いちごの旬と言えます。

その理由はいくつかあるのですが、最も大きな要因は
光合成によってたくさんの糖分が蓄積されるから、です。

冬場は緑のいちごから赤いいちごになるまで平均すると、7日ほどかかるのに対し、
春先以降は平均すると、3日ほどで赤くなります。

つまり、冬場は7日分の糖分が蓄積されるのに対し、
春先以降は3日分の糖分しか蓄積されない、と言えます。

その他にも、雨天時は光合成できませんので、雨模様が続くと糖分の蓄積が少なく、
糖度は低下します。

潅水量(水を与える量)を調節することで、糖度低下を抑制することはできますが、
太陽の力あって、はじめて甘くて美味しいいちごができるのです。

少し話は変わりますが、
現在、ハウス栽培のトレンドとなる用語に【環境制御】というものがあります。
端的に言えば、ビニールハウス内の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素濃度、飽差、培地内水分含有量など)を24時間リアルタイムで測定し、ハウス内の状況を見える化したうえで、いちご栽培に最も適した数値に近づけていく、そのような栽培手法を言います。

例えば、晴天時のビニールハウスで、いちごは【光合成】を積極的に行っていますが、その際に二酸化炭素を植物体に取り込んでいきます。そうなると、ハウス内の二酸化炭素濃度がどんどん低下し、二酸化炭素濃度が一定以下になると、太陽は燦燦と照っているのにかかわらず、光合成できない状況になります。
そのような状態を防ぐために、24時間二酸化炭素濃度を測定し、一定以下になると二酸化炭素を補完する機械が自動的に動き始めるようにしています。
こうすることで、太陽の力を余すことなく活用することができ、結果的に美味しいいちごができるようになります。

 

 

 

 

 

 

 

データを活用することで、経験や勘に頼らず、状況に応じた最適な行動を取ることができるようになり、結果として、農業1年目から平均農家以上の収量をあげたり、糖度の高い美味しいいちごを作ることが可能になります。

また、他のいちご農家の方とハウス内データを共有することで、同時期の状況を比較でき、最低温度の管理をこうしよう、この時間帯の二酸化炭素濃度をより高くしようなど、データに基づいた栽培管理を行えます。

現在、日本全国でいちご栽培が行われており、その地域によって、気候は異なると思いますが、様々な機材を活用することで、ハウス内環境は地域差を限りなく少なくすることは可能だと言えます。

当園におきましても、ハウス内環境をこれまでの栽培データに基づいた理想となる状況に出来るだけ近づけ、甘くて美味しいいちごがたくさんできるよう、努力しています。
農業界はIT技術を駆使し、より効率よく栽培を進めていかないと生き残っていけないと感じています。

時代の変遷とともに農業技術も徐々に進歩し、
それを活用することで、より美味しいいちごを、よりたくさん作ることができるようになりました。そして、これからも益々そういった技術は向上していきます。

今回のコラムでは、いちごの旬は冬です、とお伝えいたしましたが、
気候変動や技術の進歩、品種改良などが行われ、いちごの旬が夏です、秋です、
というように変わっていく可能性が十分にあります。

また、今の技術では、この京都の地でいちごは12月から6月の間しか収穫できませんが、
今後、1年中いちごを収穫することが可能となり、1年中いちご狩りが楽しむことができる、
そんな未来がくるかもしれませんね。

私もそのような未来がくることを期待しています。

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